ロゼットに寒じめ。
戌年ですよー。
あけましておめでとうございます。
ラニャーニャ現象なんのそのミカミです。
しかし寒いことは寒いです。
畑では野菜たちも寒さ対策をしています。
例えばこれ。
ほうれん草の葉が上ではなく真横に近い地面すれすれに広がっています。
こっちは11月上旬に収穫したほうれん草の写真。
葉が上に伸びており、現在の横に広がった形との違いが良く分かります。
なぜ寒くなると葉が地面近くに伸びるのか。
地面近くの方が温かいからです。(地面が地熱を蓄えている)
この形状の事を『ロゼット』と言います。(『バラ』の意)
冬を越す越年生植物に良く見られます。
ロゼットほうれん草。
名前はカッコいいのですが、難点が1つ。
袋詰めがまあ大変。
ほとんど真横に葉を広げなさったほうれん草を5~6束まとめて繊細な茎を折らないよう優しくギュッとまとめて袋に入れるのはこれ一苦労です。
でも寒くなってからのほうれん草はより一層美味しいですよ~。
寒さにあたって甘みが増しています。
なぜ寒さに当たると甘みが増すのか。
野菜の体には水分が多く含まれています。
ご存知の通り水は0℃を下回ると凍ります。
ほうれん草はあいや~凍っちゃ困ると体内の糖分を増やし寒さに耐えます。
水の凝固点(凍る温度)は0℃ですが、砂糖水は0℃でも凍らず、もっと低温まで液体でいます。
ほうれん草も理科の授業で習ったのかこの仕組みを利用して冬をしのいでいます。
そんなわけでキンキンに冷えた真冬のほうれん草は甘くなるのです。
これを『寒じめ』と言います。
他にも小松菜やキャベツ、ネギ、ハクサイなどの冬野菜も寒じめによって甘みが増します。
僕はときどき畑でむしゃむしゃと葉っぱを食べて確認しています。
農家の贅沢ですね。
最後に僕のささやかな寒さ対策をひとつご紹介。
洗われたカブがぷかぷかと浮かんでいる右上に注目。
あのお鍋には家の中から持ってきたお湯が入っていて、野菜を洗う冷たい水で手がかじかみみかみになった時にひととき手湯をしてブレイクするのです。
お湯、ありがたや~。
はい。
そんなこんなで今年もよろしくお願いいたします。
近道などございません。
こんばんは、大晦日ぐらい畑仕事を休みにして寝れるだけ寝てやろうとしたら、20代前半の時は昼過ぎまででも寝れたのに、今朝は9時には目が覚めてしまい「もう若くはないなあ。」と年齢を感じているアラサー(32歳)のミカミです。
最近の畑の様子をご紹介。
収穫している野菜は、
ニンジン。
立派に太りました。
ダイコン。
これまた大物に。
小松菜。
気温が低かったため生長の遅かった第2陣がようやく採れる大きさになってきました。
カブ。
生長途中に早どりすると辛味が強いので要注意。
あとは菜花、春菊、ホウレンソウなど。
もうしばらくで収穫を迎えるのは、
奥の方に花蕾が見えます。
キャベツ。
ゆっくりですが結球が進んでいます。
収穫・出荷作業の傍ら、畑を広げるため隣接する耕作放棄みかん畑の開墾も少しずつ進行中。
やっと下草や手ごわい蔦の刈り取りに先が見えてきたので、年明けに木を切り根を抜く作業をしようと思っています。
開墾には手がかかりますが、長らく耕作放棄地だったおかげで土の状態はとても良好で、作付けが楽しみであります。
それから自家製堆肥づくりにも着手。
これは刈り草堆肥。
こっちはモミ殻堆肥。
刈り草は勝手に生えてきた雑草なのでもちろんタダ。
モミ殻も近くのライスセンターでもらってきたのでタダ。
発酵促進に混ぜてある米ヌカもコイン精米機から集めてきたのでタダ。
同じく鶏糞も車で少し行ったところにある養鶏場の方の厚意でタダ。
身の回りで手に入る有機物を上手に利用するのは有機農業の基本です。
課題は全圃場に入れる量を手際よくつくる方法と場所の確保。
これについては今後も試行錯誤が繰り広げられるでしょう。
今年を振り返れば研修修了、引っ越し、就農と慌ただしく過ぎ去っていきました。
就農、作付けを通してあらためてひしひしと感じることを何故か執事風に言うと、
「僭越ながら申し上げます。ロープウェーのない山と同様に、近道などございません。一般論で申しますと、異性へのアプローチと同様に、焦りは禁物でございます。」
これもしなくては、あれもしなくては、という事が山ほどありますが、結局のところその日できる作業を日々積み重ねることしかできません。
近くない将来のある日ふと振り返ってみると、
おお、結構登って来たな。
と思うのでしょう。
そんなこんなで今年も大晦日を迎えました。
思えば今年もたくさんの方々に大変お世話になりました。
本当に。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
よいお年をお迎えください。
わかりにくい理由。
こんばんは、根が生真面目なので時々は肩の力を抜いて息抜きをしなくては、と思っているけれどそう思っていること自体真面目から抜け出せていないよな~ミカミです。
本旨とは関係ありませんが、これは余った菜花を活けてみました。
今日は前回から続く真面目な話。
ある日、お世話になっている直売コーナー担当の方から、野菜の袋に貼付けてあるシールの、
「栽培期間中、農薬・化学肥料 不使用」
の文言をやめてほしい、との連絡がメールで入りました。
(その直売コーナー担当の方は、とある農業法人に所属)
(その農業法人が某大型スーパー内に直売コーナーの場所を借りている)
(僕はその直売コーナーに野菜を出荷している)
電話で詳細を聞けば、何でも某大型スーパーのバイヤーさんの意向とのこと。
理由は、お客様から
「有機野菜だと思って買ったのに違うのか。紛らわしい。」
というクレームを来なくするため。(現時点でクレームはきていない。)
表示に関しては前回のブログを参照ください。
これを読んでもらえればわかる通り、僕はきちんと法律にのっとった形で農薬も化学肥料も使用していないことを表示しています。
ただ、確かにわかりにくくはあるので、
・僕の方からそのバイヤーさんに説明。
・表示についてお客様への説明文を直売コーナーに掲示する。
といった対応を提案しましたが、どうやらそういうことではないそうです。
某大型スーパーのバイヤーさんからの、
「お客様からクレームが来る可能性のあるものは事情がどうあれ無くす。」
という有無を言わせない頭ごなしの指示(決定済)なのだそうです。
話を聞けば、その直売コーナー担当の方はこれまでにも某大型スーパーのバイヤーさんの一方的な指示と生産者の間で板挟みにされながら何とか折り合いをつけやってきたとのこと。
しかし僕たちも「はい、そうですか。」と簡単に引き下がるわけにはいきません。
あのシールは、作成に少なくない時間と労力がかかっています。
ロゴマーク、文言、フォント、色合い、行間、印刷業者、などなど何度も何度も試行錯誤し作り上げました。
それは研修から就農までの苦労をも象徴しています。
しっかりと調べ、ルールを守って表示しているのに、
話し合いもなく頭ごなしに「この表示はやめてください。」
とは生産者をないがしろにしています。
そのような背景もあり電話ではやや熱くなって話してしまいましたが、直売コーナー担当の方は間に入っているだけなので悪くないですし、いくら話しても解決するわけはなく、結局
「しばらく考えさせてください。」
と言って電話を切りました。
その日から翌日にかけて悩みました。
「直接そのバイヤーさんに直談判に行こうか。」
「でも間に入っている直売コーナー担当の方に迷惑がかかるかもしれない。」
「その某大型スーパーには出荷を停止しようか。」
「それだと安易すぎやしないか。衝突したらすぐやめる、ではなく、何とかうまくかわして売りぬくしたたかな姿勢が必要ではないのか。お世話になっている直売コーナー担当の方だって間に挟まれながら頑張っている。」
「しかし有機農業には生産者が軽んじられている構造への問題提起という役割もある。長いものに巻かれろ、ではいけない。」
このような自問自答の中、翌日の夕方1本の電話が。
出てみると直売コーナー担当の方が所属する農業法人から。
「~さん(直売コーナーの担当の方)が倒れました。」
「ええ!!」
(久々に大きな声を出して驚きました。)
過労と不摂生がたたり、僕と電話で話した数時間後に倒れ、現在入院中とのこと。
翌日お見舞いに行き、電話で熱くなってしまったことを詫び、忙しく働きすぎたのでしょうから、ゆっくり休んでお大事にされてください、といった話をしました。
そしてその方一人で全てをまわしていた(その労働形態にも大いに問題があると思う)某大型スーパーの直売コーナーは出荷停止となりました。
今後、別の担当者が現われ出荷が再開できる状況になったとしても、僕は葉っぱ1枚とて出荷する気はありません。
今回の件に限らず、社会にはわかりにくい構図がいくつでもあります。
では何故わかりにくくなっているのか。
わかりにくい事は切り捨てればいいのか。
その分断が社会にどのような影響をもたらすのか。
面倒でも切り捨てずに、そのわかりにくい理由ひとつひとつと向き合い続ける社会的かつ道義的責任がそれぞれにある、
と、一生産者として、一消費者として、一庶民として考えております。
(それは『つむぎ園』という農園名に込められた理念でもあります。)
追伸:上記のような理由により、『つむぎ園』の野菜は現在
・マックスバリュ琴海店
・マックスバリュ時津店
のみへ出荷しております。