カピリ・ムポシへようこそ。
ムプルングからカサマ、カサマからカピリ・ムポシへ移動。
カサマからは電車があったのでそれに乗る。
(カサマに泊まろうと思っていたけど、良い宿がなかったし、駅に行ってみたらちょうど夜に電車があったので勢いでそれに乗ることにした。)
僕はバス移動より電車移動の方が好きだ。
特に夜行列車は旅の風情があるし、1泊宿代が浮くのも大きい。
今回はそれほど遅れずに電車が来た。
車掌さんは女性。
縮れ髪の短髪で背は150cmをいくらか超えたくらい。
年齢は20代前半と言われても30代後半と言われても通じる。
右眼は白濁しており、視界は左眼のみで確保している様子。
とても落ち着いた態度で、失礼な言動はないけれど無愛想と言って差し支えない。
半袖の気温にもかかわらず、颯爽と黒いコートを着ていて(見た感じ制服ではなくて私服だと思う)、それが不思議にきまっていた。
切符を確認するときもクール。
珍しい東洋人の姿にも一切態度が変わらない。
不必要なことは口にしない。
淡々と仕事をする。
ザンビアの車窓から。
終点のカピリ・ムポシ駅に着く30分くらい前に、女車掌さんが僕のいる客室のドアを開け、
『ここを掃除するので、隣の客室へ移動して下さい。』
と言った。
口調は事務的、顔は無表情。
でも全然嫌な感じではなかった。
僕は「オウケイ。」と言って隣の客室へ移動した。
カサマ駅20:30発
カピリ・ムポシ駅11:30着
カピリ・ムポシ駅について降車するとき、僕は女車掌さんに
「どうもありがとう。」
と言ってにっこり笑いかけた。
彼女は、
『カピリ・ムポシへようこそ。』
と言ってほんの少しだけ微笑んだ。
そしてクルリと振り返り車内に戻った。
折り返し運転に備え、いろいろと準備することがあるのだろう。
相変わらず黒いコートを哲学的に着こなしていた。
カピリ・ムポシは何てことのない交通の中継地。
あっちからきた人がこっちへ行くのに乗り換える場所。
ほとんどの旅行者は素通りすると思うけど、物好きの僕は1泊してそのへんを歩き回った。
カピリ・ムポシ。
間の抜けた呪文みたいなヘンテコな名前の町。
僕はけっこう好きです。