ヴィクトリアの滝とゾウ。
ザンビアの首都ルサカからヴィクトリアの滝の最寄の街リビングストンへ。
リビングストンでバスを降り少し歩くと、8人の女性たちが井戸端会議をしていたので宿の場所でも聞こうかと近づいて行ったら、先に向こうから話しかけられ質問攻めにあった。
「国籍は?」
「何歳だ?」
「結婚はしているのか?」
「仕事は何をしている?」
8人の中で1番迫力のある女性に根掘り葉掘り聞かれた。
どうやら彼女たちは8人姉妹で、僕を質問攻めにしているのは長女のようだ。
質問にひとつひとつ答えていくと、しまいに
「末の妹と結婚しないか?」
と持ち掛けられた。
「ええ!?」
とさすがに仰天し
からかわれているのかと末の妹の方を見てみると、
末の妹はまんざらでもない感じでモジモジしてうつむいていた。
こ、これは本気だ。
初対面の外国人である僕に縁談を持ちかけるとはワイルドな姉だ。
せっかくだけど、
「旅の途中なので。」
と、丁重にお断りした。
宿の場所を聞いて8人姉妹と別れる。
チェックインした宿でマッチョな白人の旅行者に話しかけられた。
歳はまだ20代半ば程度だろう。
「どこからここへ来た?」(マッチョな白人)
「ルサカから。」(僕)
「俺もだ。それで、ルサカでどこに行った?」(マッチョな白人)
「別にどこも。」(僕)
「俺もだ。まったく退屈だったぜ。」(マッチョな白人)
と、吐き捨てるように言った。
僕の脳裏にルサカで見た盲目の物乞いの姿が浮かび、同時に、この傲慢でマッチョな白人旅行者に対して強い嫌悪感もわいてきた。
僕はこういう奴が大嫌いだ。
気を取り直してヴィクトリアの滝へ行くことに。
街からの交通手段はタクシー。
滝はちょっとした公園のようになっていて、入口が設けられている。
入場料を見ると。
・現地人7,000kw
・外国人100,000kw
あの、価格差がありすぎじゃないでしょうか。
100kwがだいたい2円くらい。つまり、
・現地人140円
・外国人2,000円
ってこと。
納得はいかないけれどここまで来て引き返す気にもならず入場料を払って中へ。
そしたら何と!!
立ち込めるしぶきで滝が良く見えない。
ここからは少し見えた。
これは滝の上流。
落下防止の柵などは何もない。
“ドドドドド!!”
と、どこにいても滝の爆音が鳴り響いている。
しぶきでびしょ濡れになった僕はスゴスゴと宿へ引き返した。
街からそう離れていない場所で突如現れた野生のゾウを目撃。
最後尾のゾウは悠然と大便をしてから立ち去っていった。
わざわざ道路上に排泄されたゾウの巨大な大便は、節度を失い調子に乗りすぎた動物ホモサピエンスへのアンチテーゼのように見えた。