ボツワナで命拾い。
リビングストン(ザンビア)からボツワナへ行くため、乗り合いタクシーで国境へ。
船で国境の川を渡りボツワナに入国。
するとボツワナ側の国境にワゴンが2台停まってる。
そのうちの1台は近くの町行き。
もう1台は500kmくらい離れた街、フランシスタウン行き。
近くの町行きワゴンの乗客は今のところ数人で、発車までまだだいぶ時間がかかりそう。
(乗客が一定数集まったら発車する。)
フランシスタウン行きワゴンはほぼ満席でもうそろそろ出発とのこと。
移動費を節約したい僕。
まだ朝だったので近い町まで距離がなければ歩こうかとも思い、ワゴンの乗客に
「一番近い町まで歩いて行けるかな?」
と聞いてみた。
すると乗客たちは血相を変えて
「No!!」
『No!!』
と言う。
そんなに距離があるのかな。と思ったら。
「ライオンがいる!!」
『ライオンに襲われるわよ!!』
という生死に関わる理由だった。
命が惜しいので僕はフランシスタウン行きのワゴンに乗車。
道中ワゴンはサバンナを時速120kmでえんえんひた走る。
ライオンは見なかったけれど、ライオンの標識は見た。
『この辺ライオンでますよ。』という意味だろう。
フランシスタウンはボツワナ第2の都市だけあって大きな街。
今まで僕が通ってきたアフリカ諸国の都市とは感じが違い、雑然というよりは整然とした街並みで、欧米の地方都市のような雰囲気がある。
治安も悪くなさそうで、住民はキレイなショッピングモールで買い物を楽しんでいる。
ただ僕は、このフランシスタウンでは
安宿はないし、
風邪はひくし、(ヴィクトリアの滝のしぶきでびしょ濡れになったせいだろう)
スーパーで買ったサラダのパックから汁が漏れて他の物に付着するし、(しかもサラダはおいしくないし)
あまり良い思いをしなかった。
こういう時のために日本からポカリ・スエットの粉末を持ってきていたのでそれを飲んで1日寝て汗をかき風邪を治す。
心機一転。
またしても長距離移動でマウンという町へ。
この辺りはオカバンコ・デルタという大湿地帯があるサファリポイントで、マウンはその玄関口の町。
これはマウンのバスターミナル。
到着後、このバスターミナル内にいた人たちに良い宿を知らないか聞いて回る。
すると一人の男が。
「宿を探しているのか。じゃあ俺についてきな。」
と言って歩き出した。
僕がついていき、バスターミナルを出るあたりで後ろを振り向くと、バスターミナルの中の人たち20人くらいが、(乗客もタクシーの運転手も)
「こっちに戻ってこい!!」
と切迫した感じで手招きしている。
不穏な空気を察知し戻ってみると、
「あいつは悪いやつで仲間の所へ連れていかれるところだったぞ。」
と口々に言われた。
(例の男は姿を消していた)
危ないところだった。
またしても現地の人に助けられた。
バスターミナルの人たちの「宿を探すならタクシーを使った方がいい」という忠告に従い、タクシーで町からだいぶ離れたところにある宿へ連れて行ってもらう。
このテントに宿泊。
町から遠いのはやや不便だったけれど、テントなら宿泊費が高くなかったし、この宿は川のほとりの絶景ポイントにあったので近くを散策するだけで楽しめた。
こんな景色はそうそう見れない。
見たことのない鳥もいた。(当たり前か)
この宿では、どう見ても16歳以上には見えないイギリス人少年と少し話をした。
小柄で線が細く、あどけなさの残る、でも芯の強そうな、透明感のある少年だった。
何でも、ナミビアの学校で英語を教えるボランティアをしており、今はその休暇中で明日から数日間ボートでサファリに行ってくるそう。
僕が言うのも何だけど、いろんな人生があるもんだなあと思った。