新規就農どろんこ日記

巡り巡って西の彼方、長崎県西海市で新規就農した有機農家『つむぎ園』の日々のブログ(ときどき27歳のころ世界中を旅した話も)

奥義!?天地返し。

こんばんは、勢いに乗ってプリンターを購入したミカミです。

就農計画の用紙や名刺など、印刷物はこれから増える一方なので遅かれ早かれプリンターは必要になります。

さあ、使いこなせるかな?

 

 

研修は冬野菜の収穫が続いています。

 

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キャベツ

 

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紫のカブ

 

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カリフラワー

 

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ブロッコリー

 

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ブロッコリーは、中央の大きな花蕾を収穫後、しばらくすると脇芽が育ち始め、こんな風にそこそこの大きさになります。

もちろんこれも収穫して食べられます。

 

その他、大根、にんじん、さといも、ほうれん草、白菜、ネギ、などなど収穫は途切れません。

 

師匠がさりげなく行っている、播種時期を遅らせ、あるいはずらして冬の間中長く収穫を続ける技術は、簡単ではないと思います。

播種が早すぎれば虫にやられやすく、遅すぎれば大きくならない。

適期を逃さない判断が必要とされます。

 

 

そしてついに始まりました。

“天地返し”

 
地面を掘って表層部と地下部の土を入れ替えるためこの名が付きました。

何だか奥義のような格好いい名前ですが、作業としては黙々と地面を掘っていくだけの地味なもの。 

 

天地返しの一番の効果は土の物理性の改善。

 

・掘ることで土が柔らかくなる。

 例えばゴボウをつくる際、根を深くまで伸ばしやすい。

・排水性がよくなる。

 空気の層が多くなり、水はけが良好に。

・微生物にとっても好環境に。

 土の中の空気を好む微生物の活動が活発になり、作物にも良い影響を及ぼす。

 

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こんな感じ。

 

掘る深さは剣先スコップの刃、3つ分。

(だいたい75cmくらいか)

 

畑に『ザクッザクッ』という音が響きます。

 

しかし、3堀り目の深さまで難なくスコップが入る。

これスゴイことです。

 

並の農地ではこうはいきません。 

 

毎年少しづつ場所を変えて天地返しをし続け、コツコツと畑全体を深くまで耕してきた成果。

地面の上を見るだけではわからないお百姓さんの耕作への執念。

 

あながち”奥義”というのも大げさではないかもしれません。

 

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この奥義の欠点はズバリ、

 

“腰にくる”

 

こと。

 

 

これには僕の伝家の宝刀で対応します。

 

す~っ

ふっ


どりゃー!!

 

“お風呂に入って寝る”

 

おやすみなさ~い。

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石木ダム問題。

書かなければと思いつつだいぶ遅くなってしまいましたが、僕たちは昨年の10月、定住地探しに長崎県川棚町を訪れています。

 

川棚町大村湾の北、佐世保市の東に位置する小さな町。

 

町の中心部、直売所や公園、海沿いの道を車で回って見学。

ここまでは可もなく不可もなく、という印象。

 

最後に棚田を見ていこう、ということで川沿いの道を北上し、途中で右折。

細い田舎道に不釣り合いな大型ダンプと離合し、巨大な採石場を横目に通り過ぎてしばらく行くと、そこには全く予想していなかった光景が。

 

稲刈り後のきれいな田んぼと、耕作されておらず雑草で荒れた田んぼが混在するそこここに、

 

「石木ダム建設絶対反対!!」

「故郷を守る反対同盟」

「県職員面会お断り」

 

などなどの断固たる意思が、大きな看板に赤い字で示されていました。

 

それは異様な景色でした。

 

集落内は、怒り・悲しみ・嘆き・戸惑い・不安などのやりきれない感情が煮詰まったような重苦しい空気で満たされているように感じられ、胸が苦しくなりました。

 

家に帰ってから石木ダム問題について調べてみました。

 

石木ダムは長崎県佐世保市が川棚川支流の石木川に計画する多目的ダム。

 

事業を進める長崎県佐世保市の主なダム建設の目的は、

・石木川が流れ込む川棚川の洪水防止

・隣接する佐世保市の安定した水源の確保

詳細はこちら↓ 

石木ダムQ&A | 長崎県

 

対して現地住民を含むダム建設反対派の主張は、

・河川改修で治水対策は可能

・人口減少で水需要も減り、ダムは必要ない

詳細はこちら↓

blog.goo.ne.jp

 
現在、司法の場で係争中です。

 

さらに奥の集落へ行くと、一面に石積みの棚田。

収穫が終わり、はぜかけされた稲が天日干しされていました。

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先人たちが機械もない時代に斜面を切り開き、

水をはるため1枚1枚水平にし、

1つ1つ石を積み、

用水路を整備し、

毎年毎年お米をつくり、

維持してきたこの原風景。

 

 

僕は長崎県川棚町に行き、石木ダム問題を知りました。

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定住先探し(外海・雪浦)

人間がこんなに哀しいのに

主よ

海があまりにも碧いのです

 

長崎県外海地区の志津文化村の石碑に刻まれている小説家遠藤周作さんの言葉です。


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これは道の駅に隣接している遠藤周作文学館。

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これは石碑近くの志津教会。

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志津教会からの眺め。

 

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これは大野教会。

 

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その近く。 

 

先週末、おハナさんと2人で就農地と空き家を探しに、下見も兼ね長崎へ行ってきました。

 

初日は長崎市外海地区へ。

空き家バンクや地域おこし活動をしているNPOのTさんに外海を案内してもらい、お話を色々と聞かせてもらいました。

 

ご自身も20年ほど前に長崎市内から外海に移住してきた方。

親身になって相談に乗って下さり、外海で暮らすにあたっての良い面もそうでない面も包み隠さず説明してくれました。

 

今回実際に外海を見学してわかった一番のポイントは、

“耕作に適した農地が見当たらない”

こと。

 

外海地区の地形は海からすぐに山あいの傾斜地となっており、狭い段々畑しかありません。

僕たちは大規模農業をするわけではありませんが、1つの圃場がある程度は広さのある畑でないと作業効率の上で大きなデメリットになってしまいます。

 

Tさんも、率直に

「若い方に移住してきて欲しいのはやまやまだけれども、これから農業で収入を得ていこうという方に外海地区はお勧めできない。」

 

とおっしゃっていました。

 

僕が、外海地区に限らず長崎市内で就農地を探すために、役場にも相談予定であることを話すと、知り合いの役場の人に連絡を取って下さり、そのつながりで今月末に役場の新規就農担当の方とお会いして相談することになりました。

 

こういう風にコツコツと地道に各方面を当たっていくしかありません。

 

 

Tさんの奥様は明るくおおらかでチャーミングな方。
パン屋さんと民泊をしています。

みんなで海に落ちる夕日を眺めながらいろんな話をし、楽しいひと時を過ごしました。

しかも、お土産にパンをもらってしまったうえ、近くの定食屋さんで夕食までごちそうになってしまいました。

 

本当にお世話になりました。

 

帰りの車内で僕とおハナさんは

「あのご夫婦に出会えたことはとてもよかったね。」

「外海へ移住しなかったとしても、また遊びに行きたいね。」

という意見で一致しました。

 

良き縁に感謝です。

 

 

2日目は西海市の雪浦地区へ。

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ここは師匠の元研修生のUさんが移住し就農した場所。

Uさんの畑を見せてもらい、そのあとご自宅で奥さんのおいしい手料理を頂いてしまいました。

 

雪浦地区は外海地区ほど急傾斜ではなく、川沿いにある程度の広さの農地がちらほらありました。(借りられるかは別として)

すでに多くの移住者が住んでおり、また、これから雪浦地区に移住を希望し空き家を探している人も多数いるとのことです。

 

Uさんからは後日、空き家情報や市の移住相談会がJR博多駅であることを教えてもらい、ひたすら感謝感謝です。

 

またひとつ今後もお付き合いを続けたい縁が産まれました。

 

 

ちなみに、タイトルを”定住先探し”にしたのには訳があります。

定点Aから定点Bへ引っ越すことを”移住”とするならば、僕とおハナさんはそもそも定点をもたない根無し草。

今まで根をはれる場所がなく、ただ根をはる場所を探しているのです。

 

ということで”移住”ではなく”定住”としました。

 

細かいですが一応。

正確に伝えたかったので。

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